宮本 文幸「見た目」戦略研究家/桜美林大学ビジネスマネジメント学群教授
今週6月23日、東洋経済オンラインで、大谷翔平選手の第2子誕生をめぐる「年子論争」について書いた。おかげさまで多くの方に読んでいただき、わずか1日半で週間ランキング1位・月間ランキング2位、150万PV超という結果になった。Googleディスカバリーにも取り上げていただいた。
この記事は、これまで書いてきた記事の中でも、筆者にとって少し特別な位置づけになった。今回はその理由を、HPだけの「振り返り」として書いておきたい。
1. 妊娠・出産という難しいテーマに、専門家として向き合えたこと
女性の妊娠・出産は、極めてプライベートで、扱い方を間違えれば誰かを深く傷つけてしまうテーマだ。今回の「年子論争」も、母体への配慮を心配する声、個人差を主張する声、経済力を理由に擁護する声など、立場の異なる人々が、それぞれ「相手のため」という言葉を使いながら、平行線のまま対立していた。
このテーマを、どちらが正しいかを判定する形ではなく、見た目の科学・認知科学の知見を使って、学術的・客観的な立場から構造そのものを描き出せたことは、筆者にとって挑戦だった。特定の立場を持ち上げず、批判もせず、それでも専門家として社会に役立つことを伝えることができたのではないかと感じている。
2. 「見た目の科学」のもう一つの顔に気づいたこと
これまで書いてきた記事は、主に「どう見せれば、より良く伝わるか」という、発信者・設計者の視点(問いA)を中心にしてきた。商品パッケージのデザイン、ファッション、メイクなど、自分や企業が「見せ方」を工夫することで結果を変えられる、という話だ。
しかし今回の記事は、その逆側――「人はなぜ、他者や物事を自動的に判断してしまうのか」という、受信者・認知の視点(問いB)に正面から取り組んだものになった。素朴実在論、カクテルパーティー効果、流暢性ヒューリスティックといった理論はどれも、見た目を「どう作るか」ではなく、人間が見たもの・感じたものを「どう処理してしまうか」を説明する理論だ。
この2つの視点が組み合わさって初めて、「見た目の科学」という分野の全体像が見えてくる。今回の記事は、筆者自身がこのフレームワークに明確に気づいた、ひとつの転換点だったと思っている。
3. 有名人の話題という「いつもの型」が、想像を超えた結果を生んだこと
有名人の炎上・賛否が分かれる話題を見た目の科学で読み解く、というのは、これまでも繰り返し使ってきた手法だ。その意味で今回も「いつもの型」を踏襲した記事だった。
しかし、その「いつもの型」が、これまでで最も大きな反響につながった。わずか1日半で週間ランキング1位・月間ランキング2位、150万PV超という結果は、筆者にとっても予想を超えるものだった。Googleディスカバリーにも取り上げられ、同じ手法でも、テーマの選び方とタイミングが噛み合えば、ここまでの広がりを生むことがあるのだと、改めて実感する機会になった。
東洋経済の本編では、この論争の構造そのものを、認知科学の視点から詳しく解説している。気になった方は、ぜひそちらも読んでいただきたい。
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