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Xでは批判61%、ヤフコメでは祝福多数──同じ「りくりゅう婚約」を書いていて、一番驚いたこと

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2026年8月28日

Xでは批判61%、ヤフコメでは祝福多数──同じ「りくりゅう婚約」を書いていて、一番驚いたこと

正直に告白すると、今回の東洋経済の記事は、調べながら自分自身が一番驚いた記事だった。

8月23日、りくりゅうペアの婚約発表を見たとき、最初に浮かんだのは「おめでたいニュースだ」という率直な感想だった。ところが1日、2日と過ぎた頃から、X上の空気が変わり始めた。「気持ち悪い」「嘘つき」「騙された」——そこに2400万表示を超える投稿まで出てくる荒れ具合に、正直、面食らった。

「なぜ祝福ムードが一転して炎上したのか」という記事のテーマが浮かび、その要因を究明すべく、いつもと同様にヤフーコメント欄も、丹念に調べてみて驚いたのだ。

4000件のヤフコメを読んで、数字が合わないことに気づいた

正直、最初は「Xの炎上を裏付ける声がもっと見つかるだろう」くらいの気持ちだった。ところが、蓋を開けてみると様子がまるで違った。

Yahoo!のAIによる分類では、「競技優先に理解」「詮索姿勢に疑問」「公表判断を支持」「中傷環境に懸念」——実はこの4分類、すべて2人に理解を示す側の意見だった。批判する側の意見は、目立った分類としてすら現れていなかったのだ。

共感数の多いコメントを実際に読んでみても、《「ご想像にお任せします」の意味が人によってこんなにも真逆になるのだと感じました》《騙されたってのがよくわからない》というように、むしろ「Xで批判している人たち」への違和感を綴るコメントのほうが目立っていた。

同じ日、同じ2人の話をしているのに、片方では「批判優勢」、もう片方では「祝福優勢」。この数字のズレを最初に確認したとき、正直、自分の集計が間違っているのではないかと二度見してしまった。

「世論」という言葉を、私はこれまで軽く使いすぎていたかもしれない

この発見が面白かったのは、単に「Xは怖い」「ヤフコメは優しい」という話にとどまらない点だ。

私たちは「炎上している」「世論が反転した」という表現を、まるで日本中の総意が一つに定まったかのように使ってしまう。しかし今回はっきりしたのは、「世論」というものが、実は最初から1つではなく、見ている”窓”(プラットフォーム)によってまったく違う顔を見せる、ということだった。

この記事を書くまで、私自身、東洋経済の記事のネタ探しでXばかりを頼りにしていた自覚がある。Yahoo!リアルタイム検索や週次のサーベイでも、主戦場はXだった。だが、ヤフコメという”もう一つの窓”を覗きに行かなければ、今回の「本当の世論が割れている要因が何なのか」ということを解明することはできなかった。

私自身、Xとヤフコメで、ここまで「世論」が異なるとは思ってもみなかったのである。

似たような「ズレ」は、実はこの連載でも繰り返し起きている

振り返ってみると、この「見る場所によって評価が反転する」という構造は、実は今回が初めてではない。

高市首相の記事では、国会での険しい表情とジュエリー授賞式での笑顔という、”2つの顔”のあいだのギャップそのものが不信感の引き金になっていた。大谷翔平選手の記事でも、年子論争と鬼の形相という2つの出来事について、限られた情報から見る人それぞれが勝手な物語を組み立てていた。

今回のりくりゅうの一件は、これらとは少し違う。人物の表情や振る舞いではなく、「どのプラットフォームを見ているか」という、私たち自身の立ち位置そのものが評価を決めていた、という点で、これまでの記事群の一歩先を行く発見だったように思う。

書き手として、これからも意識したいこと

今回の一件は、自分の職業病のようなものにも気づかせてくれた。私たちは「見た目の科学」という枠組みで、人の表情や振る舞いがどう評価されるかを分析することが多い。しかし、その評価を下している「私たち観察者側」の視点自体が、実はSNSのメディアごとに偏った窓となっている可能性がある、ということを、今回ほど強く実感したことはなかった。

次に「炎上している」というニュースに出会ったとき、私はまずいくつかの別の窓を覗きに行くことにしたい。今回のように、まったく違う景色が広がっているかもしれないからだ。


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《東洋経済オンライン》

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引用文献

※1 Broadbent, D. E. (1958) Perception and Communication, Pergamon Press.

※2 Treisman, A. M. (1964) Verbal cues, language, and meaning in selective attention, American Journal of Psychology, 77(2), 206-219.

※3 Goffman, E. (1959) The Presentation of Self in Everyday Life, Doubleday.

※4 Jones, E. E. (1964) Ingratiation: A Social Psychological Analysis, Appleton-Century-Crofts.

※5 Brady, W. J., J. A. Wills, J. T. Jost, J. A. Tucker & J. J. Van Bavel (2017) Emotion shapes the diffusion of moralized content in social networks, Proceedings of the National Academy of Sciences, 114(28), 7313-7318.

※6 Thorndike, E. L. (1920) A constant error in psychological ratings, Journal of Applied Psychology, 4(1), 25-29.

SNS心理 りくりゅう 見た目の科学 選択的注意

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桜美林大学 ビジネスマネジメント学群 教授

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