「資生堂」を人間に例えると?~AIで描くブランド・パーソナリティ~
皆さん。最近、巷で話題になっているChatGPTやDALL・E2をご存知でしょうか? これらのAIを使って、ブランド・パーソナリティを映像化してみたいと思います。
ブランド・パーソナリティとは、そのブランドから連想される人格的な特長ともいえる概念で、必ずしも全てのブランドが持っているワケではありません。むしろそれを有するブランドは少なく、持っているブランドは、消費者を惹きつけ魅了する力が極めて高く、競合ブランドに対する優位性を獲得できる、とも言われています。
しかしこの概念、なんとなくわかったような感じになりますが、具体的にどんなものなのかは十分イメージしきれない、というのが私も含めて皆さんも思うところではないでしょうか?
そこで、実際に絵にしてみようと思いました。まずは私が長年所属していた「資生堂」を題材にお試ししようかと・・・
私も少し絵を描いたりしますが、どうしても自分の先入観が入るし、描く手間はかなりのものです。そこでAIを活用すれば、ある意味客観的?かつ短時間で描けると考えたのです。
AIの選択と使用方法
絵を描くAIとして注目されるのがDALL・E2(ダリ2)です。具体的な短い言葉を指示すると、数秒から数10秒で候補画像を4枚、描いてくれます。しかしDALL・E2に示す言葉そのものは、別に用意しなければなりません。「資生堂を人に例えた場合の絵を描いてください」だけでは抽象的すぎて描けないのです。
そこで話題のChatGPTを活用してみます。ChatGPTは言語生成型のAIですので、会話をしながら、資生堂のブランド・パーソナリティを人として表現する上での外見上の特長を言葉にして示してくれると考えられます。
これら2つのAIはいずれもAI研究の非営利組織オープンAIが開発したもので、ネット上で、簡単な登録で誰でも無料で使うことができるものです。
ChatGPTとDALL・E2で資生堂のブランド・パーソナリティを描いてみると・・・?
まずはChatGPTに次の文章を入力し、考えてもらいました。
「資生堂という日本の化粧品ブランドがあります。このブランドのイメージを人に例えると、どのような表現が出来ますか? 400字程度で記してください」
すると返ってきたのが下の図のような内容でした。
「洗練された美しさを持つ、知的で品のある女性」「彼女は自信と落ち着きを備え、知性と教養を兼ね備えています」など、かなり的を射た文章表現を出力してくれました。
ただ、これでは長すぎるし、化粧品や会社に関する表現も入り混じっているため、次のお願いをしました。
「資生堂を人に例えたこの表現内容を、DALL・E2に伝えて、その人の姿を描いてもらおうと思います。DALL・E2への適切な指示の文章を作成してください」
そこで返ってきたのは下の図の内容でした。
この文章をそのまま、DALL・E2に伝えたところ、10秒くらいで下の4枚の絵が返ってきました。
正直、唖然としました。おもちゃのような漫画チックな絵で、資生堂のイメージとはむしろ真逆に感じました。資生堂は、知的で美しい、どちらかといえばシックな大人のイメージだと思っているので・・・
しばし考えて気を取り直し、次の方針を立てて、再度、試すことにしました。
- ChatGPTから、年齢や髪型など外見の特長につながるような要素を聞き出す
- DALL・E2に上記に加え、描く要素を1人の女性の姿のみに限定する
この方針でChatGPTと2~3回、やりとりし、次の文章をDALL・E2に指示しました。
「資生堂を人に例えて描いてください。次に挙げる具体的な特長と条件を踏まえてください。
<特長>
1.年齢は40代の女性
2.知的で上品
3.やせすぎているわけではなく、程よい体型で健康的
4.髪型はシンプルで自然なロングヘアで毛先にカールをつけている
5.日本人で肌が白く、黒髪
6.服装はシンプルで上品なデザイン、白や黒、スカートやワンピースなど、女性らしいデザイン
7.有名人で例えると、女優の杏さんや、モデルの山田優さんなどのイメージ
8.真面目な顔や落ち着いた表情
<条件>
1.人物の全身像のみを描く
2.デフォルメをしないで写実的に描く」
すると、次の画像が返ってきました。
1枚はかろうじて写実的な女性の姿が描かれましたが、その他の3枚は意味不明です。
う~ん、悩ましいですね・・・かろうじて年齢層や絵のテイストは近づいたものの、顔や服装や背景なども含めた雰囲気は洗練や上品とはほど遠い仕上りとなりました。
AIを使ってブランド・パーソナリティを絵にする、というテーマは、一見簡単そうですが、一筋ならではいかない、結構難しいものであることがわかりました。
もう少し対話を繰り返して、使う側の人間が「AIを使いこなすスキル」を身に着けることが必要であることを痛感しました。懲りずにトライを続けてみたいと思います。
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