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ゼロ・プロモーション・マーケティング/宮本 文幸

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「売らない」でも大ヒット。 商品が顧客をひきつける新手法とは?

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シン・仮面ライダーのマーケティング分析~2つの概念の融合による新価値創造~

2023年3月29日

シン・仮面ライダーのマーケティング分析~2つの概念の融合による新価値創造~

出典 公式HP:shin-kamen-rider.jp

 本日、映画館で鑑賞しました。まさに“シン”を冠するにふさわしい作品でした。そのマーケティング分析を記したいと思います。

 私は資生堂で化粧品やブランドの企画開発をしてきたのですが、そこでの経験と研究から、その他の様々な商品分野にも通じるゼロ・プロモーション・マーケティングの理論を構築しました。さらに最近はモノではなく、映画などの映像作品のヒットの法則を研究しています。モノも映像作品も共通の理論が適用できることがわかってきました。

 映画は全国公開作品の場合、投資額が大規模なわりにヒット率が小さく、リスクの高いビジネス構造になっています。日用品の店頭市場では2・8の原理といって、2割の商品で8割の売上を稼ぐ構造が一般的です(ネット販売ではロングテール化が進んでいますが)が、ヒット映画として採算が取れる作品数は、その半分の1割以下が現状なのです。

 そこで、映画化を決めるには、ある程度の売上が確実に見込めると判断できることが重要になります。過去にヒットした作品の続編、ヒット漫画や小説を原作にした作品、人気スターを主役にした作品、人気のアニメスタジオや人気の監督による作品などです。

 しかし、それでもヒットしないケースも少なくありません。消費者は期待を超える新しさが盛り込まれないと満足せず、最近は公開直後からSNSに評価が掲載されるため、満足度が低いとすぐに口コミで広がり、客足は止まってしまうのです。

 シン・仮面ライダーは、期待を上回る作品に仕上がっていました。

 “シン”シリーズはエヴァンゲリオンで有名になった庵野秀明監督による作品です。 “シン”は“新” “真” “神” “深” “震”など様々な意味が込められているとされます。 “シン”とは庵野監督のこだわりや美意識による独自の価値づくりにあるといえます。

 シン・ゴジラ、シン・ウルトラマン、シン・仮面ライダーともに、かつての名作となっている怪獣・ヒーローものの庵野監督の新解釈によるリメイク作品であり、まさに2つのブランド価値の融合によって、消費者は魅了され、どうしても劇場に足を運ばなくてはいられなくなる、まさにアウトサイトがタイトルだけで形成されているといえます。

 庵野監督の魅力は初代エヴァンゲリオンのときから、それまでの典型的なロボットものとは異なり、ただならぬ奥行きや謎を秘めた作風から、多くのファンが考察に躍起になり、口コミが口コミを呼ぶ形で長期にわたり盛り上がってきました。

 そんな庵野監督だからこそ、ゴジラ、ウルトラマン、仮面ライダーという名作が、どんなふうに生まれ変わるのか、見ないではいられなくなるのです。そして、新たに語られる奥深い意味や科学的なメカニズム、哲学などが、「なるほど、これが本当のゴジラ、ウルトラマン、仮面ライダーだったのかもしれない」と予想を超えたり、目からウロコだったりする新たな存在理由や意味として納得させられたり、あるいは1度見ただけでは理解できない伏線や概念が尾をひいて、何度も映画館に足を運んだり、ネットの考察を読みあさるといった行動につながるといえます。

 シン・仮面ライダーもそうでした。一見、昔見た、あの懐かしい仮面ライダーそのものの風貌なのですが、仮面やベルト、胸から腹部にかけたプロテクター、そして仮面の下の皮膚の構造やメカニズムの種明かしのシーンには衝撃と同時に納得感がありました。そして、それらに起因する形で細部のデザインにも新しいディテールが施されていました。

 ショッカーの名前の由来や組織の理念や成り立ちなども、現実感がありリアリティーに満ちたものでした。昆虫と人間の遺伝子レベルでの融合という存在から、命や心、幸福とは何か、という哲学的な奥深さも描かれ、作品に厚みを加えており、見ごたえがありました。

 良い意味で、観衆の評価は2分しています。愛と憎は反対ではありません。愛と憎は裏表で、その反対にあるのは無関心です。たくさんの観客が足を運び、熱をもって賛否を議論している、というのはまさにヒット作品の一つのあるべき姿であるといえるでしょう。

 シン・仮面ライダーのヒットはもちろんですが、“シン”シリーズの今後のさらなる展開にも期待したいと思います。

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