コカ・コーラ ~ 擬人化を誘うポスター・デザイン
コカ・コーラが「Real Magic」キャンペーンを展開しています。キャッチ・コピーは「日常は魔法だ ありふれた日常生活の中にも、嬉しくなって誰かと笑い合いたくなる そんな“魔法”のような瞬間“Real Magic”がたくさんある。さぁ、ココロとボトルをオープンに。」です。
これがそのキー・ビジュアル。この絵を見て、皆さんは何を連想しますか?
2つのボトルは寄り添う恋人のように、2人の人間を連想する方が少なくないのではないでしょうか?
実は私たちは気づかないうちに、飲料ボトルなどを人や動物に例えて見る「擬人化」を行っています。このような消費者の潜在意識による「製品の擬人化認識」をマーケティングに活用するため、研究が進んでいます。
この分野の研究では特に自動車のフロントを対象に様々な実験が行われています。ヘッドライトは目、エンジンを冷やすための中央の空気を通すエアダクトは口というように、車のフロントは顔のように見えます。一方、コカ・コーラのような飲料ボトル、さらには私が現在研究している化粧品では化粧水・乳液のようなボトルの他、クリームのような背の低い円筒形のジャーボトル、ファンデーションのような平たい形状のコンパクト、マスカラのような細長いペンタイプ、シャンプーやリンスのようにディスペンサーのついた容器など実に様々な形態の商品がありますが、これら様々な形態のモノに対しても消費者は擬人化をすることが明らかになってきています。
ゼロ・プロモーション・マーケティングの成功事例の要因にも、この擬人化が深く影響していると考えられます。
例えば化粧水の場合、化粧水のボトルが紙や透明樹脂などのケースに入って販売されていますが、消費者はケースよりもボトルのほうを擬人化すると考えられます。それは中味の入ったボトルが商品そのもの=商品本体=擬人化対象、と認識しているからです。
ひと目見ただけで消費者の心をくぎ付けにする商品の外観「アウトサイト」は、この化粧水ボトルのような商品本体であり、擬人化の対象となるところで実現する必要があります。私たちは初対面の人に対して外見を注意深く見て情報を得ようとします。モノに対しても同じ深層心理や行動をとっていると考えられます。
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