金の特茶 ~ イメージ・モチーフによるアプローチ
サントリーの特茶のリニューアル・プロモーションが展開されています。「ケルセチン・ゴールドが腹部全脂肪に作用する」がキャッチ・フレーズです。
そのパッケージには写真のような金色の六角形のモチーフが象徴的に表現されています。有効成分が「ケルセチン・ゴールド」で「金」の特茶、そしてパッケージも金色というように「金」を軸に化学的なイメージを強く打ち出したパッケージ・デザインとなっています。
これはほぼ、イメージ・モチーフ理論による商品外観「アウトサイト」と捉えられます。イメージ・モチーフは「(六角形の)金」。中味成分のケルセチン「ゴールド」、商品名の「金」の特茶、パッケージ・デザインの「六角形の金」。これらが連想で結びつく構造になっています。
金色のお茶というのは、日常ではあまり馴染みがありません。しかも科学式のような六角形の金色の立体模様で覆われた容器本体は、ほどよい違和感を消費者に抱かせ「これは何なのだろう?」という疑問から、ひと目で釘付けとなり強力な注意を引きつけます。さらにこの疑問が興味となり、広告を注視しますし、店頭においては思わず手に取って表示の商品説明をよく読む、といった検索の行動を引き起こすのです。そしてこの検索を通じて「金」との連想が何度も繰り返され記憶が刻まれるとともに納得感で満たされます。同時に最初に抱いた違和感は解消され、興味が中味の味や効果などに移行していき、「一度飲んでみたい」といった試用意向が高まると言えます。一方でこの商品の強烈な印象から「誰かに話してみたい」という口コミ意向も高まるのです。このようなプロセスから、イメージ・モチーフ効果の程度によっては社会現象を起こす場合も出てきます。
このようにイメージ・モチーフは、消費者の潜在意識に働きかけ、購買行動へと強く誘導していくトリガーとなり得るのです。ただイメージ・モチーフなら何でもよいか、といえばそうではありません。イメージ・モチーフが大きな効果を生むかどうか、はいくつかの変数によって定量的に測定することが可能です。つまり、これらの変数を意図的にコントロールしながらイメージ・モチーフを設定し、デザインや商品属性に反映させることによって、その新製品のヒット率を確実に大きく向上させることが可能なのです。
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