野菜シートのブーム到来? ~ 2つの概念の融合による新カテゴリー創造
「シート状の野菜」という新たな食材が注目されています。老舗の山形屋海苔店による商品です。ダイソーでも発売されました。
約10センチ四方の薄いシート状で「にんじん」「かぼちゃ」「だいこん」など、素材ごとの商品となっている。まさに画期的な新カテゴリー商品といえるでしょう。
あらゆるモノ・情報があふれる現代市場において消費者は、ほとんどのモノに興味・関心を示さず、新製品といえども大半は気にもとめてもらえないまま消えてゆく運命にあります。このような状況の中でメーカーが新しい需要とビジネス・チャンスを創るためには、多くの著名なマーケティング研究者が言う「カテゴリー・イノベーション」が重要となります。新カテゴリーは競争の無い「ブルー・オーシャン」市場をもたらしてくれるのです。
ただしそこにはいくつかの必須条件があります。その一つは、その商品によって、消費者がそれまで気づかなかった新しいニーズ(インサイト)を満たしてくれるモノであることです。そうでなければ目新しいだけで最初は話題になったとしてもリピーターが増えず、やがて市場から消え去ります。
この野菜シートはいくつかのインサイトを満たしている可能性が考えられます。
例えば「野菜は健康にいいが調理・保存・食べやすさなどで手間がかかる」という不満を解消してくれるかもしれません。シートなので「手軽に食べられ調理・保管もしやすい」のです。また形が悪い野菜はくず野菜として処分されてしまいますが、やさいシートはそれらを原料に製造できるので、廃棄野菜を減らし環境や食料問題の解決にもなるといえ「やさいシートを食べることは地球にも良い」という付加価値もついてきます。さらに原材料は野菜と寒天のみという植物性100%の極めて自然でシンプルなのも健康志向に合っているといえます。
ゼロ・プロモーション・マーケティングの視点から見ると、このようにインサイト思考に叶った商品といえるでしょう。一方「ひと目で心をつかみ購買へと誘う外見=アウトサイト」という観点からは、「野菜」と「シート」という本来無関係の2つの概念が融合したものであり、初めて見た人は驚きとともに「注意」「興味」「違和感」が高まって思わず手にとり、裏面の商品説明などを読まずにはいられなくなるくらいのインパクトがあるといえるでしょう。
今後の動向に注目したいと思います。
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