出前館はウーバーイーツに勝てるか!? ~ 消費者の深層心理による壁
外食デリバリー市場で熾烈な競争が繰り広げられています。業界1位のウーバーイーツに対して、2位の出前館が数百億円規模の赤字を覚悟で、そのポジションを奪おうとしています。
直近では出前館がウーバーイーツを抜いたとの報道もあります。しかし少しでも手を緩めると、元の順位に戻る傾向が垣間見られます。
ある市場内で最初に1位のポジションを確立する、すなわち、通常その市場を最初に創った企業は、数十年以上にわたってシェア1位を維持する現象が多く見られます。一旦、1位の企業ポジションが定着すると、あとから参入した企業がそれをくつがえすのは、かなり難しいという法則性があるのです。
その最大の要因は、私たち消費者の深層心理にあります。「カテゴリー知識」というバイアス(歪み)です。脳の働きの95~97%は潜在意識や無意識が占めるとされ、私たち自身がはっきりと意識できるのは、脳の働きのわずか3~5%に過ぎないのです。日頃、私たちはこの意識できない深層心理から様々な影響を受けているのですが、そのことに気づいていません。
カテゴリー知識というバイアスは「日本で一番高い山は?→富士山」「では2番目は?→・・・」という例が示すとおり、あるカテゴリー(この場合は高い山)の具体例を思い出そうとすると1位に大きく偏って記憶されている、という「歪み」のことです。
「コーラの銘柄で思いつくものは?→コカ・コーラ」「化粧品では?→資生堂」そして「外食デリバリーでは?→ウーバーイーツ」なのです。私が30年以上勤務した資生堂は、数十年にわたり(今でも)業界1位です。これを抜くのは至難のわざといえます。
でも、例外はあります。
「スマホの銘柄で思いつくものは?→アイフォン」がそれです。実は最初にスマホのナンバーワンのポジションを確立したのはアイフォンではなくノキアでした。「パソコン機能がある携帯電話」というコンセプトを外見でも表現し、上半分はスクリーン、下半分はキーボード、という「顔」をしていました。そこへ後からアイフォンが参入しました。アイフォンはキーボードが無い、いわば「タッチスクリーン式スマートフォン」というスマホのサブ・カテゴリー市場を創造したのです。
このように1位の牙城を切り崩すためには、サブ・カテゴリー創造がキー・ポイントになるといえます。
ゼロ・プロモーション・マーケティングはこのようなサブ・カテゴリー創造を確実に遂行するための理論でもあります。
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